ITコーディネータに聞く!【官公庁・ITC編】CIO補佐官として活躍 ~セカンドキャリアは地域社会への貢献~

東京で民間企業の情報システム部に30年間勤務後、公募により青森県職員(IT専門監 )を5年間経験し、 現在は奈良県職員 (CIO補佐官)。転職のきっかけは、I T コーディネータ資格取得直後に地元I T コーディネータ組織が支援する市の商店街活性化事業へ参加して自治体業務へ興味を持ったこと。

県のCIO補佐官というのは、どのようなお仕事なのですか?

【阿部】今年の4月から勤務している奈良県では、総務部情報システム課CIO補佐官として、「情報システム最適化業務」や「県内市町村の自治体クラウド導入支援」に関する業務に携わっています。また、前職で5年間勤務していた青森県CIO補佐職では、セキュリティの内部監査業務にも関わっていました。

……最初にCIO補佐官の公募に申し込んだきっかけは何ですか?

【阿部】5年前に、青森県CIOに応募したきっかけは、両親の故郷だったこともありますが、東日本大震災がきっかけでした。ちょうどITコーディネータ資格を取得するための”ケース研修”を受講していた時に、千葉県のITC組織が支援していた被災地域(習志野市)の地域課題解決事業に参加する機会があり、自治体や地域のために「何か力になりたい」と思いました。当時は、セカンドキャリアとして具体的に考えていたわけではありませんが、今思えば、その時自治体の仕事について強く興味を持ったことが現在の職務と繋がっていますね。

ITC資格はCIO業務に役立っていますか?

【阿部】はい、ケース研修で学んだ、外部環境の分析、内部環境の分析、あるべき姿の構築、といった考え方は、自治体で業務を推進するうえでも重要な根底の部分として役立っています。次年度予算の作成や投資評価、あるいはベンダーコントロール等においても、ITコーディネータ資格で学んだことが強みになっていると感じています。普段、プレゼンの機会が少ない業種の方にとっても、ケース研修での課題発表などの経験は大いに役立つことではないでしょうか。

 また、奈良県では県と市町村あるいは、市町村同士が柔軟に連携・協働して、行財政運営の効率化を目指す”奈良モデル”に取り組んでおり、市町村のIT化へ向けた支援の中で、私も市町村のIT調達仕様書の作成支援や調達審査会へ参加しています。市町村へのIT調達支援については、民間に勤務していた頃と逆の立場で見ることができ、非常にやりがいのある仕事だと感じています。

官公庁のCIOを目指す方へのアドバイスがありましたら。

【阿部】地方のIT活用は、まだまだ多くの課題を抱え発展途上にあり、今後、更にITコーディネータのような人材が、民間感覚で自治体において課題解決実現することが求められています。セカンドキャリアだからこそ、これまで培ってきた豊富な経験を生かすチャンスはその先に見えてくるはずです。そのためには、日頃から様々な分野に興味を持って、知見を深めることが必要であり、可能な範囲の中で多くのITコーディネータと交流することが近道の一つと感じています。

奈良県総務部情報システム課CIO補佐官 主幹 阿部一成氏

岩手県釜石市出身。大手鉄鋼専門商社のシステム部門で30年間勤務後、ITコーディネータ資格取得をきっかけに、公募により青森県職員(IT専門監)を5年間経験。現在は奈良県職員(CIO補佐官)。


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