ITコーディネータに聞く!【支援機関・ITC編】「デジタル化支援コンサルティング」は若いITコーディネータで取り組む ーお客様のためにも、銀行の風土のためにもー

株式会社ふくおかフィナンシャルグループ(FFG)は、総資産で地方銀行グループのトップ。 今回は、ビジネス開発部の部長、河﨑幸徳氏と、若手メンバーである植木尚之氏に話を伺いました。
…「デジタル化支援コンサルティング」とはどんな取組ですか?
河﨑 全ての企業に必要な間接業務や財務会計、勤怠・給与、情報共有を対象に、コスト・操作面で導入ハードルが低いクラウドサービスの適用についてプランニングし、実際に導入支援までを行うというものです。
デジタル化の取組は企業の大小を問わず喫緊の課題ですが、特に中小企業においては相談できる相手がいないため、どのように取組めば良いのかが分からないのが現状です。そこで、FFG傘下の十八親和銀行が先行して、経営統合でご迷惑をおかけした長崎県の取引先に対して取組を開始し、2021 年 3 月末までに870 社あまりを訪問、324社に対し支援を行い、155 社の支援を完了しました。
取引先からは、「銀行がデジタル化を支援してくれるのは大変ありがたい」と高い評価を得ています。
…メンバーはITコーディネータ資格の取得を目指したと伺っていますが
河﨑 このチームは平均年齢30歳の若手行員たちで、最初からデジタルの専門家であったわけではありません。
私自身は2003年に資格を取得していますが、メンバーには、各種スキルの習得に加え、ITコディネータ資格にも挑戦してもらい、FFG 全体で22名が資格を取得しました(2021年 4月1日時点)。
ITの資源調達や、経営とITをつなぐという側面で、ITコーディネータのプロセスガイドラインが一番勉強しやすく、スキル習得には一番早いと思い、人事部と交渉して、資格取得費用は全部銀行が持ってもらうようにもしました。
… 資格を取得されてどんな感想をお持ちですか?
植木 以前は、お客様の困りごとを聞いても、問題解決のフレームが分からない事がありました。
ITコーディネータ資格を勉強して、経営課題の解決方法やIT戦略などを学び「なるほど」と思うことがとても多かったです。資格を取得し、名刺に“ITコーディネータ” と書いてある事で、ただの銀行員ではなく『こいつは何者だ』と思われることがパワーにもなります。
メンバーの中には、「社長の目指す姿って何ですか?」というような話をしたときに、社長から「やっと銀行員もこのような話をするようになったな。俺は待っていたぞ」と高笑いされたことがあったといいます。
ITコーディネータの手法を勉強したことで、中小企業に求められるような切り口で、経営を支援していけるようになると思います。これは本当に価値があるものだと実感しています。
… 今後の取組とITコーディネータ資格の位置づけを教えてください
河﨑 これからの銀行のサービスには、IT経営に精通したITコーディネータのような存在は欠かせません。
中小企業の人たちが、日ごろ接している地場金融機関の担当者がITスキルを身につけたら、相談の内容は大きく広がります。
ITコーディネータを育てるのは、顧客のためだけではありません。銀行もデジタル化を進めていくことを痛感しており、デジタル人材の育成は大きなテーマになっています。
ITコーディネータが増えることによって、デジタルを使った改革を推進するという風土が、行内にでき上っていくことも重要だと考えています。
企業概要
株式会社ふくおかフィナンシャルグループ(FFG)
事業概要:銀行、その他銀行法により子会社とすることができる会社の経営管理、およびこれに付帯関連する業務。その他、銀行法により銀行持株会社が行うことができる業務
2007 年 4 月、福岡銀行と熊本ファミリー銀行(現:熊本銀行)の経営統合で設立。同年10 月に親和銀行、2019 年 4 月に十八銀行と経営統合し、2020 年10 月に親和銀行と十八銀行が合併して十八親和銀行となった。2021 年 5 月には国内初のデジタルバンク「みんなの銀行」サービスを開始
福岡県福岡市中央区大手門1-8-3
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