ケース研修インストラクターに聞く!「ITC資格・ケース研修」の魅力(1)

この度、現在ITコーディネータとして第一線でご活躍されており、ITコーディネータ資格取得用ケース研修等のコース登壇をはじめ、様々な人材育成に取り組んでいらっしゃる4名のインストラクターの皆さまに、お話を伺う機会を頂きました。その内容について、レポートいたします。

今回のインタビューは、ITC資格取得用ケース研修のコース設計・教材などをご検討されていらっしゃるワーキンググループの中から、4名のインストラクターの方に、ご対応頂きました。

<左から、浅井 治 氏 ・ 稲垣 実 氏 ・ 野村 真実 氏 ・ 平野 尚也 氏>

ITコーディネータ資格は、人とつながり、ビジネス機会につながる!

Q: 本日は、お話をお伺いする機会を頂き、誠にありがとうございます。まず、最初に、ご自身が、ITコーディネータ資格を取得して「良かった」ことについて、お話を頂ければ幸いです。 (ITCケース研修事務局)

平野 尚也 氏

まず、ITコーディネータ資格を持った方がお客様側にいらっしゃる場合などは、「共通語」で話ができる、という大きなメリットがあります。特にITの世界では、異なるベンダー間やベンダー・ユーザ間で「共通語」が少ないという課題がありますが、ITC同士では「プロセスガイドライン」をもとにした共通語で話ができる点は、いいですね。

 また、ITコーディネータ資格取得は、「ITを切り口」としたコミュニケーション、人脈形成に非常に有効だと思います。(平野氏)

野村 真実 氏

私の場合、10年ほど中小企業を中心とした支援をしているのですが、実務は、すべてITCプロセスに基づいています。現場では、それが、大きな武器になっていますね。ITCプロセスは、IT経営支援業務において、一貫性を保持し、仕事の質を高めるのに、非常に役立ちます。

また、最近は、金融や公的な機関など多くの企業、団体にて、「ITのことなら、ITコーディネータへ相談!」という形で、認知が広まっていることも資格取得のメリットのひとつだと考えます。(野村氏)

稲垣 実 氏

ずばり、「専門家登録」ですね。特にセカンドキャリアを準備されている方でしたら、営業の窓口が、なかなか見つからない状況かと思います。ITコーディネータとして中小企業の窓口として専門家登録しておけば、それだけビジネスチャンスは広がります。

専門家登録に関しては、ベンダー側の立場の方も有効です。例えば、名刺の肩書きひとつとっても、対外的信頼性は高くなります。ITコーディネータとして資格認定を受け、専門家登録をすれば、活動の範囲、ビジネスへの広がりが生まれることを実感しています。これは、大きな付加価値ですね。(稲垣氏)

浅井 治 氏

私は、現在、「企業内ITコーディネータ」として活動しています。私自身も、ITコーディネータ資格を知ったのが、「専門家派遣事業」でした。登録先で、ITコーディネータ資格に興味をもったのが、資格取得のきっかけです。

ITコーディネータ資格を取得して何が良かったか、一言でいうと、「人脈」ですね。会社の中にいては、なかなか会う機会のない方とも話ができ、場合によっては、仕事を一緒にする機会もできてきます。人脈が広がることは、自分自身の営業チャンネルが広がることもつながり、今後、セカンドキャリアに向けたステップを考えた場合でも、可能性が広がる期待があります。(浅井氏)

ケース研修は「IT経営推進プロセス」を一気通貫で学べる唯一の機会!

Q: 皆さま、それぞれがITコーディネータ資格を取得後、それを一つの武器として、活用されていらっしゃるのですね。

 さて、ITコーディネータ資格取得のためには、ケース研修受講が必要になります。皆さまは、普段、多くのケース研修コースをご担当されていらっしゃると思いますが、ご自身の過去受講経験も踏まえて、ケース研修の醍醐味・良さについて、お聞かせください。 (ITCケース研修事務局)

『 ITは、人によってとらえ方がまちまちで、範囲も非常に広い世界です。ケース研修は、「プロセスガイドライン」というひとつの柱をもとに、最初から終わりまで一貫し、ケースやプロセスを学びます。このような研修は、世界的にも例がなく、秀逸な研修だと考えます。』 (平野氏)

『 ケース研修で得られる知識・スキルは、実務においても、例えば、今まで説明に1時間以上かけていたことが、5分で終わる、といった効果もあります。まさに、プロセスガイドラインから得られる「共通語」が、自身の武器となるわけです。』 (稲垣氏)

『 私がケース研修を受けたときに、特に良かったのは、「RFP(Request For Proposal)」に至るまでを、学習できたことです。

それまでは、ベンダー側の立場で、RFPありきで提案することが仕事だったのですが、ケース研修では、ユーザ側の立場で、どのようなことを行っているのか経験できたことが、良かったですね。また、プロセス全体を一気通貫で、学ぶことは、非常に楽しい経験でした。』 (浅井氏)

『 IT研修というと、ほとんどがプログラミング、システム構築等の技術研修である中、ITCケース研修は、IT技術要素は、一切取り扱いません。

IT技術を取り扱わない、ある種、潔さも、ケース研修の魅力のひとつです。では、何に主眼をおいているかなのですが、端的に言うと「経営」を学んでいるのです。経営に対するITの位置づけがどうなっているかを学べる研修は、ケース研修が唯一の存在と言えるでしょう。』 (平野氏)

『 ケース研修は、座学を中心とした講義ではなく、「議論」を重ねていくことにより、学びを深めていくことも魅力のひとつですね。普段は、なかなか議論をする機会がない方も多いと思います。私自身、当時、普段接することのない他業種の方と、とことん議論ができたことは、本当に楽しかったです。

議論の結果は、グループごと様々で、決まった答えはないのですが、かっこいい言い方をすると、「答えは、自分たちで作る!」といったスタンスで進められるのが、むしろ、ケース研修の良さですね。』 (浅井氏)

ケース研修開催の様子

『 グループディスカッションのアウトプットは、様々で「個性的」な結果がでます。他グループの検討結果発表を聞くことも、新たな気づきになり、非常に勉強になります。

また、時には、ディスカッションが、思うように進まないグループもあるのですが、私が講師担当する際には、ファシリテーションのやり方など、ちょっとしたヒントを出すようにしています。グループディスカッション自体を進めるための、コミュニケーション力を身に着けることにも役立っていると思います。』 (野村氏)

『 日頃の仕事では、多くの方が正解であることしか、やらないことが、多いと思いますが、ケース研修議論の場では、普段不正解と考えられる発想であっても、進んでぶつけてみることが大切ですね。その上で、他の方からの意見・フィードバックを聞き、気づきを得ることも、貴重な財産になります。』 (稲垣氏)

『 注意して頂きたいのは、ケース研修で、すべてを学べるわけではないことです。プロセスガイドラインで学べることは、「守破離」で例えると、「守(ガイドをもとに作業できるレベル)」であって、ベーシックなところなのです。

ケース研修で基本を学んで、その後、自分のスタイルをもち、発展形を作るのは、自分自身で、継続して学び、経験を積んで、磨いていく部分であることを理解することが大切です。ケース研修は、そのもとになる学びの場であり、スタートラインになると思います。』 (浅井氏)

ITC資格取得、ケース研修受講をご検討中の方へのメッセージ!

Q: ありがとうございます。ケース研修は、「IT経営推進プロセス」を学べる一気通貫で学べる貴重な機会であり、ディスカッション等の議論から、多くの気づきが得られることが最大の良さであることが改めて理解できました。

 また、ケース研修は、あくまでスタートラインであり、その後ITコーディネータとしての研鑽が重要だと感じます。最後に、ITコーディネータを目指している方、ケース研修受講をご検討中の方にメッセージを頂ければ幸いです。 (ITCケース研修事務局)

『 日経ビジネスの最近の記事傾向を分析すると、9割がた「IT」をテーマとしています。このことからも、ビジネスのフィールドは、確実にITがベースとなっていると言えるでしょう。今後、社内で仕事をするにしろ、独立するにしろ、ITと経営は切り離して考えることはできません。

 このような時代においては、自分自身でITと経営に関する「マップ」を作っていくことが重要です。ITコーディネータ資格取得やケース研修受講を通じて得られたことで、改めて世の中を見てみると、きっと見方が変わってくると思います。ITコーディネータ資格取得により、自分自身が新たな第一歩を踏み出すきっかけになると考えます。』 (野村氏)

『 ITには、テクノロジーとマネジメント、そしてストラテジー領域があります。ケース研修は、ストラテジー領域を主眼とした研修であり、多くの実績があります。

 特にITベンダーの方でキャリアパスをお考えになっている場合は、今がチャンスです。キャリアパスでストラテジー領域を目指すのであれば、ITコーディネータ資格、ケース研修受講は、必須と言えます。』 (稲垣氏)

『 特にITベンダーは、ITだけでは、仕事にならない時代になっています。今までと同じことをやっていては生き残れません。つまりプラスアルファ、二足の草鞋を履く必要が出てきているわけです。

 個人においても、自分の棚卸をして、今後進むべきロードマップを見定め、アクションする必要がありますが、きっとその延長にITコーディネータとしての活動があるのだと思います。』 (浅井氏)

『 政治・経済・社会・文化・経営・個人生活に至るまで、IT抜きには語ることができません。ITは間違いなく時代を変えるドライバーです。ITは非常に裾野の広い科学・技術・哲学分野です。

 ITコーディネータは、ケース研修を通じて、徹底して「ITの何たるか」を習得し、「経営とITに橋を架ける」高度なプロフェッショナルです。一日も早く、ケース研修を通じてITの原理・原則を習得し、是非ITコーディネータ資格の取得に挑戦してください。ケース研修会場でお待ち致します。』 (平野氏)

皆さま、本日は、ご多忙中に貴重なお話を頂き、有難うございました。 (ITCケース研修事務局)

<取材後記 (ITCケース研修事務局)>

今回の取材で感じたこととして、インストラクター皆さまの立ち位置、ビジネス活動における原点のひとつとして、ITコーディネータ資格取得、また、ケース研修受講が契機にあることでした。

また、資格取得、研修を通じて、得ることのできる「人脈」もかけがえのない、貴重な財産になることを実感されていることも印象的でした。

ケース研修は、IT経営推進プロセスを一気通貫で学べる唯一の機会であり、ITコーディネータとして必要な知識・スキルが学べることはもちろん、ともに学ぶ「仲間」との出会いという財産を得られることが、大きな特徴です。単なる資格取得とどまらない、今後のキャリアパスを開く、貴重な機会であると考えます。

IoT・ビッグデータ・人工知能時代の到来。今、ビジネスや社会の在り方そのものが大きく変わろうとしています。

この変化の激しい時代を渡りぬくためには、ITコーディネータ資格は、ひとつの大きな武器になると感じます。

<今回インタビューにご協力頂いたITコーディネータの方>

平野 尚也 氏

外資系、日本の情報通意企業の役員を歴任。同時に、公的機関各種委員、大学院講師、最高裁判所専門員、調停委員を務める。ITC制度発足当時から現在まで、約500名のITCを育成。
ITC制度発足から、毎回、継続して講師を担当。単なるケース研修の習得ではなく、受講者の方が明日からの実務に直ぐに役立つ、スキル・ノウハウ・実践力向上に努めている。

野村 真実 氏

2007年日本ユニシス㈱を退社し、独立。
2011年より一般社団法人 千葉IT経営センターの代表理事。
千葉県を中心に中小企業の経営支援を推進中。千葉県・県外で地域活性化のためのIT利活用に関する公的事業の各種プロジェクトの企画立案・実施に関与。また、中小企業経営参謀としての支援実績多数。IT経営の啓蒙により、情報化社会の発展および地域経済の活性化を目指す。

稲垣 実 氏

船橋情報ビジネス専門学校ビジネスコンピテンシー研究所 所長。
「情報サービス産業人材の育成(研修講師)」として、上流系科目を担当している。研修講師等の人材育成のほか、「専門家派遣」として、中小企業のIT経営支援を担当。昨今では「IT導入とそのためのプロセス改革支援」より「情報セキュリティマネジメント支援」の依頼が増加している。

浅井 治 氏

大手電機メーカ系のソフトウェア開発会社に入社。
UNIXオペレーティングシステムの開発に従事し、ハードとソフトが分かるエンジニアを目指す。システム開発を通じ、プロジェクトマネージャー、SEを経験、更に、システムアーキテクチャや上流設計を指向し、専門家派遣事業の一環で、中小企業のIT経営を支援。また、これまでの経験・知識を活かし、社内外でのセミナー講師など、教育、研修に携わり、コーチングやキャリア開発にも傾注する。
昨今は、ITコーディネータ協会のイノベーション関連のWGに参加し、「イノベーションと人に優しいIT経営」を目指す。