ケース研修インストラクターに聞く!「ITC資格・ケース研修」の魅力(2)
前回に続き、現在ITコーディネータとして第一線でご活躍されており、ITコーディネータ資格取得用ケース研修等のコース登壇をはじめ、様々な人材育成に取り組んでいらっしゃる2名のインストラクターの方に、お話を伺う機会を頂きました。
今回のインタビューは、ITC資格取得用ケース研修教材検討ワーキンググループの中から、栗山 治 氏 ・ 木村 玲美 氏にお話を頂いております。その内容について、レポートいたします。

ITコーディネータでつながる仲間!!
Q: 本日は、お話をお伺いする機会を頂き、誠にありがとうございます。まず、最初に、ご自身が、ITコーディネータ資格を取得して「良かった」ことについて、お話を頂ければ幸いです。 (ITCケース研修事務局)

『 私は、もともとIT業界で仕事をしていたわけではなく、組織開発や人材育成関連の会社を経て、メーカーの研究室等で仕事をしていました。ITコーディネータ資格取得のきっかけは、資格制度が始まる前に、「ITSSP」という経済産業省施策の一環として、経営者が参画するコミュニティにて、経営課題を解決するといったプロジェクトがあったのですが、そこで、コーディネータの仕事をさせて頂いたのがきっかけです。
その流れで、ITコーディネータ資格制度立ち上げ初期のころに、資格認定を受けました。また、ITコーディネータ養成のための教育サービスプロジェクトや、ITコーディネータ向けのテキスト編纂などの仕事を経験させて頂きました。
ITコーディネータ資格と出会えて、一番良かったことは、資格取得を契機に、多くの人と知り合えたことです。現在、所属先である人材育成事業のメンバーも、当時のケース研修の仲間とともに運営しています。 またITコーディネータの認知度は商工会議所などの支援機関、金融機関などでは一定の評価を得ています。今では、ITコーディネータの仲間の輪も、大きく広がり、それが私の大きな財産となっています。』 (木村氏)

『 私の場合は、約16年前の話ですが、ITコーディネータ資格を、会社からの推薦で取得した形になります。その前までは、経営に関しては、診断士の資格を持っていたのですが、ITコーディネータのフレームワークとプロセスに照らし合わせて、学んでいくうちに、「これは、ロジカルで、わかり易くて、そして、実践に使えるぞ!」といった印象を強く受けました。
自分自身、当時受講をしていて、多くの「気づき」を得ました。また、それ以来、ITコーディネータ資格を目指す方に対して、ケース研修担当インストラクターとして毎年対応させて頂いておりますが、受講生の皆さまからも、多くの気づきを得ています。それら、気づきは、他では得難いもので、これを継続できることは、非常にうれしいことですね。
今まで500名を超える受講生の方を担当させて頂きましたが、今まで、そしてこれからも、ITコーディネータの仲間が増えていくことは、私にとって、大きな財産です。卒業生が参加するOB組織も運営しており、現在も情報交換、交流を図っています。』 (栗山氏)
ITC「三種の神器」とは!? ケース研修はIT経営体験の場!
Q: 両氏ともに、資格制度立ち上げの時から、ITコーディネータ育成に関わる取り組みをされていて、そこから得られた人脈が大きな財産になっているのですね。さて、お二人は、毎年ケース研修のコース担当をして頂いておりますが、ケース研修の醍醐味・良さについて、お聞かせください。 (ITCケース研修事務局)

『 ケース研修は、「プロセスガイドライン」をベースとしています。 経営戦略の「三種の神器」として、3つの重要な部分があると思っています。
一つ目は、「経営ビジョン」、
二つ目は、「CSF(Critical Success Factors)」、
最後三つ目は、「戦略マップ」です。
戦略マップは、プロセスガイドラインでは、「ビジネスモデル」として定義されています。戦略実現のためのストーリーと言えるでしょう。 この3点セットを固めることが、戦略のコアを形成することにつながります。
ケース研修は、これら、ひとつひとつを、課題を通じて学んでいきます。経営戦略のコンセプトとなるこの3点をしっかりと意識したうえで取り組むと、ケース研修は、非常に意義ある学びの機会となるでしょう。
また、ケース研修カリキュラムのもとになっている「プロセスガイドライン」は、ITコーディネータとして活動していく上での「バイブル」となります。ただし、プロセスガイドラインで定義されていることは、比較的抽象的な事柄が多いので、ケース研修という学びの場で、正しく理解することが重要です。』 (栗山氏)

『 ケース研修はITコーディネータのプロセスをケース企業の現場を想定して、ワークショップ演習方式にて、一気通貫で疑似体験するものです。最初は戸惑うかもしれませんがやはり体験に勝る理解はありません。
ケース研修でITコーディネータプロセスの全体像を理解することで、プロセスガイドラインの理解もより進みます。 合わせて、他参加者の多様な考え方、アプローチに触れることで知見が広がります。
また個性溢れるインストラクターからの現場での体験談も聞け、参加者の方のロールモデルなることもあり、メンターとなって研修終了後もサポートします。メンバー同士、インストラクターとケース研修終了後、協働するケースも少なくありません。
また、IT経営という幅広いプロセスの中で、自分自身の「強み」を改めて、発見する機会となります。ケース研修という学びの場は、自分の強みを再発見し、育てるためのスタートラインとなります。』 (木村氏)
ITCを目指す女性の方へ!!
Q:木村様にお聞きしたいのですが、最近、ITコーディネータ資格取得を目指す女性の方が増えてきています。ケース研修でも、以前は、男性でエンジニアの方の参加が、比較的多かったのですが、最近では、IT業界に限らず、全国各地、様々なフィールドで活躍されている女性の方が、多く受講して頂いています。
木村様はじめ、今後の女性ITコーディネータの方の活動について、ご意見を頂けますでしょうか? (ITCケース研修事務局)

『 ITコーディネータ資格は、是非、多くの女性の方にも、取得頂きたいと考えています。例えば、女性が持つ「柔らかさ」は、相手の心を開かせ、本質的な課題を引き出すことにもつながります。細かな心配りなど、老若男女関わらず大切な部分ではありますが、特に女性の方は、得意な部分ではないでしょうか。
国の施策などで女性の活躍の場はこれまで以上に増えるだけでなく、女性には、ITコーディネータに向いている特性も多く持ち合わせており、お薦めです。(もちろん個人差はあります。)
ITコーディネータのプロセスは経営者の思いを受け止めることから始まります。経営者とのコミュニケーションの中から思いを引き出すのですが、言葉にしていることはだけでなく、言葉にはなっていない、本人が意識してなかった深層の思いを引き出すことが、より深い信頼関係を築きます。女性の柔らかさ、受容力はこれにうってつけです。
最近注目の人間中心イノベーション手法である「デザイン思考」も人の深層の思いに焦点を当てるもので、ITを利活用してイノベーションを加速するお手伝いをするITコーディネータに必須スキルです。 女性は感情的と言われます。その真偽には疑問がありますが、デザイン思考では、機能より人の感情にフォーカスすることがイノベーションの鍵と言われています。』 (木村氏)
ITC資格取得、ケース研修受講をご検討中の方へのメッセージ!
Q:有難うございます。最後に、ITコーディネータを目指している方、ケース研修受講をご検討中の方にメッセージを頂ければ幸いです。 (ITCケース研修事務局)
『 IoTやAIなど新聞で見ない日はありませんが、社会、地域、各企業でどう利活用していくのか、という具体的な話はこれからです。地域版IoT協議会も各地で立ち上がったばかりです。
私も静岡県のIoT協議会に立ち上げ時からのメンバーです。技術的話題、象徴的な大手企業の先進的な取り組みの話題は出るものの、具体的に地域や企業の競争力を高め、課題を解決するための戦略的活用の事例はまだまだ少なく、まさに経営とITの橋渡しをする、ITコーディネータの出番だと思っています。
先進的な技術をどう経営と結びつけ競争力を高めるのか、どう課題を解決するのか、ITコーディネータのプロセスに解があります。 スピードも競争力、ぜひ「今」、一日も早くITコーディネータとなり、皆さん自身の競争力をさらに高めましょう!』 (木村氏)
『 ケース研修は、参加した方しか得ることができない多くの「気づき」を得ることができます。今まで知っていたつもりでいたけれども、本当は違っていた、ということも含め、モノの本質に触れる機会になります。気づきを多く得れば得るだけ、自己成長につながります。
もちろん、ITコーディネータ資格取得も、目的の一つだと考えますが、ケース研修受講の機会は、今後、ご自身のキャリアパスにおいて、重要なターニングポイントになると考えます。ケース研修会場で、お待ちしております!』 (栗山氏)
本日は、ご多忙中に貴重なお話を頂き、有難うございました。 (ITCケース研修事務局)
<取材後記 (ITCケース研修事務局)>
木村様からも、頂いたお話ですが、ITコーディネータ制度発足時は、IT活用の促進、ITの利活用、が盛んに叫ばれていた時代でした。それが、今や、ITは経営環境の一部であり、ITの恩恵なくして経営は成り立ちません。
だからこそ、経営を理解し、ITの恩恵をどう経営が享受するするのかをデザインすること、時代やトレンドに左右されない、本当に実践に使えるスキルを身につけることが大切であることが、お二人共通のお考えでした。
<今回インタビューにご協力頂いたITコーディネータの方>

栗山 治 氏
40年に亘りITベンダーにてSE、PMとして多くのプロジェクト経験を積む。
2001年ITコーディネータとなりケース研修を中心とした人材育成にも従事し、現在までに、約500名のITコーディネータを育成。
”体系化されたITCフレームの理解と実践力養成”を目的に、分かり易いインストラクションが好評。『楽しく研修に取り組むことで、より多くの知識や気付きが得られる』ということをモットーとしている。

木村 玲美 氏
リクルート等を経て中小企業支援の会社を経営する傍ら、IT企業や情報システム部門の組織開発、人材養成にも携わる。
経済産業省IT経営教科書策定委員等も歴任。 スポーツ、ヘルスケア、メンタルヘルス、働き方、防災などの注目領域×ITの利活用(IoT含)が最近の取り組みテーマ。経済産業省のヘルスケア×IoTを競うアイデアソンのイベントで昨年度優勝も果たす。